《色による区別》
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「アオ」
(トモエさん画像提供) [岡山産]
「アオ」と言っても昔の「アオ」と言う表現は主に写真のような草色の事ですが、現在は埋め立てで絶滅したと思われる
「備前青江のアオ」だけは、本などで「黒緑」と紹介されていますが、産地の問屋さんの話ではブルー系統のアオだったそうです。
(このへんがややこしいのですが)
しかし、この草色のウナギやブルー系のウナギの全てが「アオ」と呼ばれたのではなく、成育優良(太った)で緑系か青系のウナギにのみ使われていました。
養殖に「青色」の「アオ」が出現したため、それと区別する為に「アオトビ」とも呼ばれました。 生息地はゆったりと流れる河川に多く餌が豊富である所です 自家消費用に捕獲されるアオも居ましたが流通はしていなかったのでここでは省略いたします
その他にいっそうややこしい事は関東では二流品扱いされているものもあり、関西では一流品であったという事です
流通がまだ未熟であったことで別の商品であったのか、好みが違ったのか、今では調べられません
★★〜★★★
「アオ」と「下り」 ウナギは水や底の色、または砂とか石などの住んでいる場所の変化で様々な色に変ります。
特に注意していただきたいのは、養殖ウナギの身質は「色」では判断できません。 また、同じ産地でも「池」ごとに色も違い味も違います。 天然うなぎでも「色」+「産地名」により、始めてランク別けが成立していましたので「これは○色だから、上物だ」とは簡単には言えません。
「アオ」の色について 「天然うなぎの種類」(東京市場)で誤解をされそうですので、改めてこのページを追加させていただきます。
実は、東京市場と大阪など他の市場ではランク別けが違っていました。
例えば、同じ「アオ」でも東京と大阪ではランクが違います。大阪では一級品であった「アオ」も東京では二級品で扱われ、「サジ」「カスリ」「ホシ」「シロ」など「アオ」よりもランクの高いとされるウナギが居ました。 しかし、大阪の「アオ」と東京の「アオ」は同じウナギなのかと言うと、これまた怪しくなってきます。
とにかく色や呼び名がバラバラで、しかも同じ呼び名で実は違う色なんかも混ざってしまい、天然ウナギ自体が少なくなってしまった現在では統一するのは難しいです。
ですから、私のサイトでは「天然うなぎの種類」に(東京市場)とわざと書いています。 あくまでも、戦後の東京市場での呼び名を中心として書いていきますので、ご了承下さい
今回は一番誤解されている色の「アオ」と言う呼び名についてですが・・・
上の写真は、今日(2月8日)に問屋さんに入荷した養殖ウナギです。 左上から順に薄い青色(ブルー)から並べてみました。 私の経験ですと(たいした経験ではありませんが・・・)5月後半から入荷する「新仔」と呼ばれる物には、もっと青色や紺色のウナギも出回りますし、中国産などはアオと呼ばれているものが多いです。 養殖ウナギには青色(ブルー)が存在しますので、天然ウナギでも存在しておかしくないのですが、東京市場で天然の「アオ」は緑色系統のウナギを主に指して呼んでいました。
(「目に青葉・・・」「青信号」なんかも全て緑系ですよね)
東京近郊では青色(ブルー)のウナギは捕れないのですが、「アオ」というウナギの呼び名は遠方のウナギが入荷する以前からありました。 また現在までのウナギの色分けには「ミドリ」と言う言葉がありません。ですから「緑色」系統を当然「アオ」と呼んでいたのがわかりますよね。
また宮川曼魚氏は、「下り」が少し青色化するので江戸時代は「下りウナギ」を「アオ」と呼んだのかも知れないと書かれています。
しかし、昭和初期から戦後に掛けて東京市場で「アオ」と呼ぶ代表的なウナギには
「江戸前のアオ、トビアオ(沖上がり)」「柳川、矢部川のホシアオ、カスリ」がありますが、 「備州のアオ」(備前ハチハマのハチアオと青江のアオ)以外は全て「下り」では無い緑色系統のウナギを指して呼んでいました。 「下り」の色について
次に「下りウナギ」の話なのですが、「下り」にもいくつかの種類があります。それから上で書きました、宮川曼魚氏の「下りが少し青色化する・・・」についてもう少し具体的に書きますと、「下り」には大まかに 「アオ」「サジとクロ」「ゴマ」「カニクイ(ゲイタ)」の4種類の「下り」に別けられていたそうです。
いろんな色の「クダリ」
注意 ウナギの形や色分けは、両方の特徴を持った中間型が多いです
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←「アオ」の下り
「アオ」は、さらに緑が濃くなり青みも少し増し、側面は黄金色、腹は赤みが少しさします |
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←「サジ」の下り
「サジ」は黒系統に青みが少しさし、側面は赤銅の金属色、腹は赤みがほんの少しさします |
捜索中 |
←「ゴマ」の下り
「ゴマ」は青茶色の金属色、側面は薄い黄金色、腹は赤みがほんの少しさします。「ゴマ」の黒点ははっきりと浮き出て残ります |
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←「カニクイ」の下り
「カニクイ、ゲイタ」は銀化せず、あまり変らない。
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「クロ」
[高知産]
背中が「黒色」のウナギですが、季節によってランクも変化しやすく、上物から三流品まであります
★〜★★★
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「カラス」「腹クロ」
大半が居着きのうなぎで背中から腹まで「黒色」その半数以上が皮が
異常に硬い為に二〜三流品とされていました
しかし、例外として
黒の中でも真冬の寒の時期に、冬眠中の泥の中から掘り起こす「寒の天然」もこの黒に属しますが極上の天然うなぎです
上のウナギは「アオ」です。下のウナギが「腹クロ」です
どちらも「背開き」で比較しました
★〜★★★
「寒ウナギ」
「寒ウナギ」 「寒ウナギ」
現在よくウナギの旬について報道されているのは「下りウナギ」が脂がのっている為「秋・晩秋」が旬だと言われていますが、
寒の天然うなぎは、その「下りウナギ」よりも評価の高く、この天然うなぎが普通に流通している頃は、鰻の旬は10月下旬の「下りウナギ」にはじまり、泥の中から掘り起こされる「寒の天然うなぎ」が「寒のどじょう」同様に最高とされていました。
ですから「冬」がもっともウナギが美味しい時期とさえ言われていました。
★★★★★
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「アカ」 「チャ」
[岡山産] 「高知産」
流れの速い河川に多く、背が黄赤色のウナギ
★〜★★★
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「ゴマ」捜索中
上流域に多く、背が黄色と茶色系で胡麻を振ったように黒い点があるウナギで三流以下(四等品)とされていたそうです しかし、この上流域に棲む皮の異常に硬く脂が無い物の他に、河口から海で捕れるゴマウナギは最高級とされていたそうです (残念ながら私は前者の渓流に棲むゴマウナギしか確認していません)
また、松井魁先生は「オオウナギの幼魚」ではないのかと書かれていますので、ひと口に「ゴマ」と言っても何種類かのウナギがいたようです
写真のウナギはゴマの模様が出ていますがゴマウナギではないです。「ホクロ」と呼ばれていますが、ホクロは無視して他の特徴を優先させて選別されました
上流に住む方のゴマウナギはもっと腹が黄色くゴマの模様もハッキリと現れています。
オオウナギの幼魚でもありません
★と★★★★
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「シロ」捜索中
砂質のせいだと言われています。岡山産に多かったそうですが、「アルビノ」の白や黄色とは別だそうです。
★★〜★★★★
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「ホシ」「カスリ」
「カスリ」
主に九州「柳川」」にいた、緑の背中に星のように斑紋が浮き出ていたそうですが、柳川地方ではすでに絶滅したようです。
画像では判りにくいのですがカスリは粟粒ぐらいの白い模様が一面にあります。
「ホシ」
生育場所の変化で、既に絶滅かと思われたホシウナギですが、2009年の入荷で3匹が一度に確認できました。
★★★★
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「サジ」
[岡山産]
関東産では「クロ」に多いいのですが、腹の白や黄色の部分の境目がはっきりと区切られたウナギです
★★★
「下サジ」 ★★★★
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「スジ」
[岡山産]
「サジ」の中で境目の所にくっきりと黄色い線が入ったウナギで、季節により脂ののり方でこの黄色が消えたり現れたりすると考えられていますが、私が見る限りではあまり脂と黄色は関係が無いように感じます
★★★〜★★★★
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(銀)「クダリ」
[徳島産]
銀色や銅色の金属色のウナギは「ギン」とも呼ばれ下りウナギの別名です。 産卵する前の「銀化」の特徴が謙虚に現れ腹の部分が金属色です。居付きの大型のウナギとは簡単に区別できます。 大型の物は皮は硬いですが、脂が乗っていて臭みが無く人気が高いウナギです
★★〜★★★★
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《形による区別》 |
「クチボソ」
頭が小さい「狭頭形」でその中でも特に口が小さく、肥満度が高いウナギです
昔(平成初期まで)は全国各地で捕れましたが、環境の悪化で激減し、現在は殆ど捕れなくなりました。
★★★★
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「トビ」?捜索中
「トビ」とは、もともと養鰻の成育優良の物を示す呼び方ですが、いつのまにか天然にも使われるようになりました。私が見た「トビ」は全て「クチボソ」でしたので同じかもしれません。
また、「アオ」の中で「とびきり良い物」=「トビ」という説が正しいかもしれません。
ですのでその場合い、「アオ」の最上級に位置します。
愛知県の「三河一色のアオトビ」が東京では有名で上物だったそうです
★★★
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「カニクイ」
下側が「カニクイ」です [徳島産]
「クチボソ」「トビ」と正反対のウナギで頭が異常に大きく脂がまったく無く成長不良のウナギです。こればかりは値がつかなかったウナギです。
(方言で、オオウナギの事や単なる「広頭形」のウナギを言う所も多いので注意してください)
×
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「オオウナギ」
ニホンウナギではなくオオウナギです。斑紋が出ていますので、大きくなれば区別がしやすいです。 味は小型のうちはわりと美味しく食べられます。
方言では「ゴマウナギ」「カニクイ」など
×〜★★
オオウナギの幼魚 トモエ氏画像提供
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《生息場所などによる区別》 |
ウミウナギ(海うなぎ)
一年中、海水に居るうなぎです。
うなぎの色は保護色となっているので、捕れた場所によって大きく変わるのですが
この海ウナギ特有のエメラルドグリーン系や瑠璃色に近い宝石に似た輝きは、数時間で無くなる為に、流通の段階ではすでに変色してますので判断はできません。 捕れて直ぐの色は輝いています
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オキアガリ(沖あがり)
主に秋〜冬は水温の高い海水で餌を食べ、梅雨頃に川へと移動するウナギの事で、淡水域で捕れたウナギです 梅雨以降の下流域では、このオキアガリとイツキとが同じ場所で同時に捕れますが、まったく違った味です。
逆の大雨の後や梅雨の時期に干潟や湾内で川のウナギがよく捕れますが、これらのウナギは「川のウナギだ」ぐらいでしか呼ばれづ「オキアガリ」のような呼び名のない事を考えると、昔から「美味しいウナギ」として認知されていたのでしょう |
イツキ・ジツキ(居付き・地付き) |
ヌマウナギ(沼うなぎ) |
カワウナギ(川うなぎ) |
《変なウナギや希少で流通していないウナギ》 |
白子(アルビノ)
(Pinnoさん画像提供)
眼が赤いのが白子の特徴ですが、なぜか確認できたものはすべて、尾鰭の黒い色素が残っています
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パンダ?
白子同様に天然界では外敵に一番先に狙われますので、なかなか捕獲される事はありません。
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これらはあくまでも外見上で判断できる区別ですが、実際は中間型が多く少数での判断はも〜と難しくなり、なかなか産地名無しに格付けなどはできません。 せっかく上物の条件が揃っていても、昔には無かった「石油系」の臭いがするウナギもいます。
また、最高と最低のウナギぐらいは区別がわりと楽にできますが、その数は非常に少なく、実際は焼いてみなくてはわかりません。
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「オーストラリア種」
2008年ぐらいから流通しているオーストラリア産の天然うなぎです
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